操作マニュアルの動画を作ってほしいと言われて、最初に考えたのが「どう撮るか」でした。画面録画して、ナレーション録って、編集して。そのルートで動き始めて、すぐ詰まりました。システムの画面が変わるたびに、一から撮り直しになるからです。
作ったそばから古くなる。それが見えていたので、別のやり方を探しました。
動画を「作る」のではなく「描く」
たどり着いたのは、動画をコードで生成するやり方です。
画面のUI、カーソルの動き、字幕、タイミング。これを全部、テキストの指示として書いておいて、実行するたびに動画ファイルが出力される仕組みです。撮影素材はゼロ。画像ファイルも使いません。
更新するときは、原稿ファイル(1つのテキスト)を直して、もう一度実行する。尺も字幕も自動的に合わせて作り直されます。
「マニュアル動画を作りたいが、更新が大変で続かない」という相談には、このやり方が一番効く気がしています。
AIにどう頼んだか
私はコードを自分で書かず、AIに頼んで作ってもらいます。このときもやりたいことを日本語でそのまま渡しました。
操作マニュアルの動画を、撮影なしで作れるようにしたい。
原稿ファイルに「ここでこのボタンをクリック」「ここでこのテキストを入力」と書いておくと、画面UI・カーソル動作・字幕・読み上げ音声が全部自動で生成されて、1本の動画ファイルになるようにしてほしい。
原稿を差し替えるだけで動画が更新される形にする。尺は原稿の量に合わせて自動で伸び縮みさせて。
指示のポイントは「原稿が正」であること、それと「再実行するたびに最新版が出てくること」を最初から明示したことです。
出力の形(ファイル形式・読み上げ音声の有無など)を最初に決めておくと、後から直す手間が減ります。
必要なもの
同じことをやるのに要るのは、だいたい3つです。
- 動画をコードで組み立てるツール(ブラウザ上でリアルタイムに確認しながら開発できるものを使いました)
- テキストを読み上げ音声に変換するサービス(原稿の文章を音声ファイルに変換し、タイムスタンプと字幕を自動で合わせます)
- それらを動かす開発環境(手元のPCで動きます)
クラウドの外にデータを出せない案件向けに、音声合成をローカルで完結させる構成も別途用意しました。外部サービスへの通信が一切ない形にするやつです。
正直に言うと、まだ途中
現時点で動作確認が終わっているのは、映像部分(画面UIの描画・カーソル・字幕・タイミング)です。読み上げ音声を映像と接続する部分はまだ検証途中で、引き継ぎ書はありますが実運用には至っていません。
「完成した仕組みがあります」とは言えない状態です。これは正直に書いておきます。
ただ、映像の自動生成部分が動くだけでも、更新コストは下がります。テキストを直して再実行すれば、字幕と画面の動きが最新になります。ナレーションなしで字幕だけのマニュアル動画なら、今の状態でも使える形です。
どんな業務なら同じ手が使えるか
システムの画面説明が中心の操作マニュアルに向いています。特に、こんな状況で効果が出やすいです。
- 画面キャプチャが変わるたびに動画を撮り直している
- 複数バージョンのマニュアルを平行して管理している
- 社内のさまざまなシステムに同じ形式でマニュアルを作りたい
逆に、実際の人の動きや物理的な作業手順を見せる動画には向きません。コードで描けるのは、あくまでUI上の操作に限ります。
更新が前提なら、最初から「作り直せる形」で作る
マニュアルは一度作ったら終わりでなく、システムが変わるたびに直します。撮影と編集を毎回やっていると、更新が止まる。止まると古いマニュアルが残る。古いマニュアルは使われなくなる。
そのサイクルに最初から気づいていれば、作り方を変えておく価値があります。素材として「撮ったデータ」を持つのではなく、「原稿と生成ルール」を持つ形にしておくと、更新が回りやすくなります。
まだ音声接続が途中なので「これで解決しました」とは言い切れません。ただ、発想の転換として、撮るより「描く」を選んだのは正しかったと思っています。
