あるクライアント先で、状況確認の仕方を聞いたことがあります。「今どうなってるか確認してくれますか」と頼むと、担当の方がいくつかのシステムやファイルを順番に開いて、手元でメモを取っていました。毎回それをやっている、と言っていた。
「集めてしまえばいいんじゃないですか」と言ったら、「そういう発想がなかった」という反応でした。
何が詰まっていたか
問題はシステムが悪いわけじゃない。それぞれのツールには、それぞれが必要な情報がちゃんと入っている。問題は、確認したい情報が3か所、4か所に分散していることです。
ツールA(進捗)
↓ 開いて確認
ツールB(状態)
↓ 開いて確認
ファイルC(数字)
↓ 手元でまとめる
ようやく今の状況が見える
これを毎回やっている。1回あたりそれほど重くなくても、頻度が高ければ積み上がる。しかも手元メモに転記するので、どこかで数字がズレたりもします。
「もっと良いシステムに変えれば」という発想になりがちですが、既存のツールを全部入れ替えるのは費用も手間もかかるし、現場の抵抗も出る。変える必要はありません。
取りに行くのをやめる
考え方はシンプルです。こっちが複数のツールを見て回るのではなく、ツールの方から情報を集めてくる場所を1つ作る。ダッシュボードサイトと呼んでいますが、要するに「今の状況を一画面で見られる場所」です。
既存のツールは一切触りません。それぞれから情報を引き出す窓口を作って、1か所に集めて表示するだけ。
仕組みとしてはこんなイメージです。
ツールA
↓ 情報を自動で取得
ツールB
↓ 情報を自動で取得
ファイルC
↓ 情報を自動で取得
↓
ダッシュボード(1画面で全部見える)
担当者がやることは、ダッシュボードを開くだけ。確認したい情報がそこに揃っています。
AIにどう頼んだか
私はこういう仕組みを作るとき、AIに日本語で渡して作ってもらいます。このときの頼み方は、だいたいこんな感じです。
クライアント先で毎回複数のツールを手動で確認して、手元でメモを取っている状況を改善したい。
- それぞれのツールから情報を自動で取得して、1つのページにまとめて表示するサイトを作って
- どのツールから何の情報を取るかは、こっちで指定する
- 表示は一覧で見えればいい、凝ったグラフは要らない
- 情報を取る頻度は定期的に自動で更新されるようにして
- どのソースからの情報か分かるように、出典も一緒に表示して
「凝ったグラフは要らない」を入れるのはポイントで、入れないと見た目を整えようとしてどんどん複雑になる。最初は「見えること」だけを優先して、シンプルに作ってもらった方が最終的に速いです。
必要なもの
同じことをやるのに要るのは、これだけです。
- 情報を取り出せる各ツールへのアクセス権(APIの利用許可か、ファイルへの読み取り権限)
- 取得した情報を表示するページ(Webブラウザで開けるものなら何でも)
- 定期的に情報を取りに行って更新する処理(Googleの無料実行環境などで動かせます)
特別な費用はかかりません。既存ツールを触らなくていいので、ベンダーへの許可申請も基本的に不要です。
詰まりやすい場所
気をつけた方がいい点が1つあります。「全部の情報をまとめたい」と欲張ると、最初の設計が複雑になって動くまでに時間がかかる。
最初は「一番よく確認する情報だけ」に絞ること。1か所だけでも集まれば、そこを開けば分かる状態が作れる。それが動いてから、徐々に足していく方が結果的に早く仕上がります。
また、各ツールへのアクセス方法は事前に整理しておく必要があります。ツールによっては、外から情報を取り出すための設定が要ることがある。ここを最初に確認しておかないと、作業の途中で詰まります。
どんな業務なら同じ手が使えるか
情報源が複数あって、確認するたびにそれぞれを開いている、という状況なら、だいたい同じやり方が使えます。
売上や在庫の数字が複数のツールに分かれている、案件の状態を見るのに2〜3か所を確認しないといけない、といった場面です。「何がどこにあるか分からない」ではなく、「どこにあるかは分かるけど、毎回開くのが面倒」という状況が対象です。
既存のツールを変えずに、確認の手間だけを減らせるので、現場への影響も最小限で済みます。
