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受発注・データ連携

取引先がFAXでも、手入力はなくせる

受発注を半自動化する考え方

2026-06-29

取引先がFAXでも、手入力はなくせる

卸の会社で、こんな状態をよく見ます。注文はネットの受注システムにちゃんと入ってくる。なのに、その先が止まる。取引先が「発注書はFAXで送って」を崩さないからです。

だから人が受注画面を開いて、内容を目で確認して、発注書の形に打ち直して、PDFにして、FAXで送る。注文が増えるほど誰かが張り付くし、写し間違いも出る。受注はデジタルなのに、発注はアナログ。この継ぎ目だけが、ずっと手作業で残ります。

ここで多くの人が「じゃあ取引先にもFAXをやめてもらおう」と考えて、止まります。相手の会社のやり方は、こっちから変えられないからです。

私はこのとき、相手のFAXは一切触りませんでした。変えたのは、こっち側の手作業だけです。


受注はデジタル、発注はFAXのねじれ

整理すると、詰まっているのはこの一本の流れです。

ネット受注(データで入る)
  ↓ ここを人が手で転記してPDF化
発注書を作る
  ↓ ここも人がFAXで送信
取引先(FAXで受け取りたい)

両端は動いています。入口はデータ、出口は相手のFAX。問題は、その間を毎回人がつないでいること。

「全部デジタルにしないと自動化できない」と思うと、出口のFAXが邪魔に見えます。でも、出口は相手の都合なので変えられない。だったら、変えられる真ん中だけを自動でつなげばいい。FAX自体は残したまま、こっちが手で打ち込んでいた部分を機械にやらせる、という発想です。


間に挟む、という考え方

やったことは単純です。注文が入ったら、人を経由せずに発注書PDFが作られて、そのままFAXで飛んでいく。受注の状態も自動で「送信済み」に変わる。出口は今までどおりFAX。相手から見れば、何も変わっていません。

仕組みとしては、受注システムとFAX送信サービスの間に、小さな通訳を一つ置くイメージです。受注データを受け取って、発注書の形に整えて、FAXに渡す。この通訳役を、私はAIに作ってもらいました。


AIにどう頼んだか

私はコードを自分でゴリゴリ書くより、AIに頼んで作ってもらうことが多いです。このときも、やりたいことを日本語でそのまま渡しました。だいたいこんな頼み方です。

受注システムに入った注文を、こっちが何もしなくてもFAXで取引先に送れるようにしたい。

  • 注文が入ったら、その明細を1枚の発注書PDFにまとめて
  • 宛先や担当者の欄は、こっちで持ってる対応表から自動で埋めて
  • できたPDFを保存してから、ネットFAXのサービスで送って、送れたら受注の状態を「送信済み」に更新して

それと、いきなり本番で誤送信すると事故るので、テスト中は宛先を自分の番号に固定するモードと、本番モードを分けて。送り先が確定できない注文は、無理に送らずスキップして一覧に残して。

ポイントは、欲しい結果と気をつけてほしい所を、業務の言葉で渡していることです。どのサービスを使え、という指示は出していません。「対応表から宛先を埋めて」「送れたら状態を更新して」のような、普段その作業を人がどうやっているかを、そのまま言葉にしただけです。

これくらい具体的に渡すと、動くものが返ってきます。あとは実際の注文で試して、ずれている所を「ここはこう」と直していく。


必要なもの

同じことをやるのに要るのは、だいたい3つです。

  1. 注文データを外に取り出せる受注システム(APIやWebフックで、注文が入ったことを外に知らせられること)
  2. 送信を自動で頼めるネットFAXのサービス
  3. その2つをつなぐ処理を動かす場所(Googleの無料で動く実行環境などで足ります)

特別に高いものは要りません。今あるものに、間をつなぐ小さな仕掛けを一つ足すだけです。


誤送信が怖いので、先に線を引いた

この手の自動化で一番怖いのは、便利になることより、間違ったFAXが取引先に飛ぶことです。一度送ったFAXは取り消せません。

なので最初に、テスト中は宛先を自分の番号に固定するモードを必ず作ってもらいました。本番に切り替えるまで、外には一通も飛ばない状態で動きを確かめる。それと、宛先がはっきり決まらない注文は、勝手に送らずに止めて一覧に残すようにしました。曖昧なものを機械が気をきかせて送る方が、よっぽど危ないからです。

自動化というと「全部おまかせ」を想像されがちですが、送っていい相手かどうかの線引きは、人が決めて機械に渡す。ここは人が持っておくべき所だと思っています。


どんな業務なら同じ手が使えるか

この考え方が効くのは、入口はもうデータになっているのに、出口が相手の都合で紙やFAXのまま、という継ぎ目です。卸のFAX発注に限らず、けっこうあります。

相手のやり方を変えようとすると、交渉が要るし、たいてい動きません。でも、自分の側の手作業を機械に渡すだけなら、相手の同意は要らない。全部をデジタルにしなくても、真ん中の一手間が消えるだけで、現場はだいぶ楽になります。

「うちは取引先が紙だから無理」と諦めている所こそ、間に挟む余地が残っていることが多いです。

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