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AI導入の考え方

面積を入れたら金額が出る、それだけでいい

見積フォームと自動計算をつなぐ

2025-11-23

面積を入れたら金額が出る、それだけでいい

フィルム施工を扱う業者から、こんな依頼が来ました。縦と横の寸法を入力してもらったら、面積を計算して、金額の目安をそのまま画面に出してほしい。今は営業が電卓で計算して、プランと照らし合わせて、お客さんに答えているので、毎回時間がかかる。

単純に聞こえますが、業種によってはこれが地味に重い。施工か、フィルム貼り付けかで単価が変わる。面積の範囲によって価格が段階的に変わる。範囲外はそもそも見積もれない。この条件を電卓でこなすのが問題なのではなく、お客さんを待たせること、営業が電話番や問い合わせ対応のたびに手を止めることが問題です。


最初の依頼と最初のバグ

AIへの指示は短くシンプルでした。

フォームでは、施工面積なのかフィルム面積なのか選択してもらう。それから縦横の長さを入力してもらう。縦横で平米を計算して、その平米範囲の金額を出力する。この範囲以外のものはお見積り不可と表示して。

返ってきたものを動かしてみたところ、すぐ気になる点が出ました。0.00と入力しても3,000円と表示されています。

0.00でも3000円だな。おかしいでしょ。0.1以上のみつもりなんだから。

0.1平米未満は見積もれない、という条件が漏れていたのです。AIは価格テーブルの下限をゼロで作っていたので、面積がゼロでも最安価格が出た。指摘したら即修正されました。こういうのは最初の一発で完璧には出ない。動かして確かめるほうが早いです。


出てきたものが重すぎたので仕切り直した

最初にAIが出してきたのは、モダンなフレームワークで書かれたものでした。見た目を整えるためのコンポーネントライブラリまで使った形で返ってきます。動くのですが、サーバーが要るし、外部ライブラリの読み込みも必要で、手元に置くには重い。

そこで方向を指定し直しました。

いや、htmlだけでできる?

最後に「HTMLとJavaScriptで」と指定したら、外部ライブラリ不要のHTMLファイル一枚に収まるものが出てきました。

フォームでやりたいことは計算と表示だけなので、HTMLとJavaScriptで十分です。サーバーもデータベースも要りません。ブラウザで開けばそのまま動く。このあたりの見極めは、AIに任せるより先に「何が要って何が要らないか」を決めておいたほうがスムーズです。


台数を計算させるか、入力させるか

別の案件では、同じフォームにプロジェクターの必要台数も盛り込む作業がありました。こちらは複数の施工エリアを入力して、エリアごとの平米を合算してプロジェクター台数を自動で割り出す、という設計で始まりました。

途中で方針が変わりました。

プロジェクタ数は、利用者に計算して入力してもらうことにして平米や枚数から算出する計算は不要

自動計算にしようとすると、エリアごとに入力欄が複数必要で、台数算出のロジックが複雑になります。「計算した台数を使いたいのではなく、営業が確認した台数をそのまま入れてもらえばいい」という判断です。自動計算するほどの手間が省けるか、入力してもらえる情報があるかは、現場の運用次第です。

こちらの作業は長引きました。エリアを5箇所入力、各欄の下に平米数を表示、エラーメッセージが重なって読めなくなった、CSSが途中で消えた、という細かい修正が30往復以上続きました。


詰まった箇所

具体的に時間がかかったのは2点です。

入力欄のすぐ下に「※小数点第2位まで入力可能」という注釈を表示したとき、エラーメッセージが出ると文字が重なって読めなくなりました。CSSのマージン調整だけで何往復かかかりました。AIに「被っている」と伝えると直す、ただし別の場所が崩れる、というパターンです。こういうときはスクリーンショットを貼って「この赤字部分が問題」と具体的に指摘するほうが早い。

もうひとつ、コードを修正してもらうとCSSが省略されて消えることが何度かありました。「全行出力して」と添えると出てくるのですが、省略有りで渡すとその箇所ごと消える。最初から「CSSも省略せず全行出力して」と一言入れておくと一往復減ります。


必要なもの

このタイプのフォームに要るのは3つです。

  1. 入力欄(面積の種類・縦・横、またはそれ以外の数値)
  2. 計算ロジック(入力値から平米や金額、台数を出すルール)
  3. 表示の条件分け(範囲内なら金額、範囲外ならメッセージ)

サーバーへの送信やデータベースへの保存が要らなければ、HTMLファイル一枚で動きます。スプレッドシートへの記録も必要なら、送信ボタンを押したときにGoogleスプレッドシートへ書き込む仕組みを足せます。

価格テーブルの中身は、すでに持っている料金表がそのまま材料になります。作りとしてはこういう形です。

材料の面積: 0.1〜0.5平米 → A円 / 0.6〜1.0平米 → B円 / 1.1〜1.5平米 → C円
作業の面積: 0.1〜0.5平米 → D円 / 0.6〜1.0平米 → E円 / 1.1〜1.5平米 → F円
範囲外: お見積り不可

この表を渡してAIに頼むと、計算ロジックごと作ってもらえます。


向いている場面

見積もりの手順が「寸法を聞く → 面積を出す → 料金表を見る → 案内する」というステップになっている業種なら、そのままフォームに落とし込めます。フィルム施工、内装、防水工事、印刷、看板、ガラス工事など、面積や枚数から単価が決まる仕事がこれにあたります。

計算のルールが複雑なほど、ミスが出やすい。フォームにしておくと、ルールを一箇所に閉じ込められるので、料金改定のときも一か所直すだけで済みます。

電卓とメモで対応しているなら、一度フォームにしてしまうほうが長期的に楽です。最初から完璧に作ろうとせず、基本の計算だけ動く版を先に確認して、細かい条件を足していく順番がうまくいきやすいです。

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