受発注の自動化を提案する場面で、こういうことがありました。資料の内容はまとまっている。ロジックも固まっている。あとはパワポに落とすだけ、という段階で止まる。
デザイン、配色、スライドの順番。この部分に半日取られることがあります。内容は1時間でできているのに、形を整えるのに5時間かかる。やっていてもどかしいのは、その5時間が提案の品質に貢献しないからです。
私はこれを、AIに頼むようにしました。
AIへの頼み方
仕組みとしてはシンプルです。手元のメモや箇条書きをそのまま貼って、パワポを作るよう頼む。それだけです。渡すと、スライドの構成案とPPTXのファイルが返ってきます。
あるとき、受発注自動化の提案書を頼んだ内容はこんなです。
この内容でパワポの提案書を作ってほしい
- FAX送信サービスを4社比較して選定理由も入れて
- AS-IS(現状)とTO-BE(改善後)の比較表を1スライドに
- ROIのスライドも作って。投資回収の目安も出して
- 費用とスケジュールのスライドも付けて
返ってきたのは10枚のスライドです。表紙・課題・比較表・費用対効果・開発費・ガントチャートまで揃っていた。投資回収は3.3か月という計算も入っていました。金額の根拠は私が資料に書いた数字から出しています。
最初の1回で完成するわけではないですが、ここからが本番です。
直し方も日本語でいい
実際に多かった指示のやりとりを書くと、こんな感じです。
スライド8はカード形式じゃなくて比較表にしてほしい。 各サービスの項目を横並びで見せたい。
表の文字が白抜きで読めない。直して。
「投資対効果」の部分は要らない。代わりにコスト比較の記述に変えて。
全部日本語です。「このスライドのこの部分をこう変えて」を繰り返す。あるプロジェクトでは、最初の指示から完成まで何十回もやりとりしました。それでも、手でスライドを修正し続けるより速い。スライドの中身を考えながら直す時間を取られないからです。
詰まったところ
うまくいかないケースもありました。
一つは、前回出したファイルがリセットされてやり直しになること。会話を跨ぐとAIは前のファイルを持っていないので、修正が続く場合は同じ会話の中でやりきる必要があります。
もう一つは、数字の整合。スライド間でカルテ1件あたりのリクエスト数を統一したかったのに、別々のスライドが別々の計算で動いていたことがありました。「1カルテあたり平均2〜3リクエスト」という前提を、スライド全体に反映させるには明示的に指示する必要があります。「前の計算結果と一致しているか確認して」と確認の言葉を入れると、ずれている箇所を指摘してもらえます。
技術用語が多い内容のとき、略語の定義がずれていたこともありました。「RPM」「TPM」をスループットと呼んでいいか迷っていたので「APIクォータ(受付上限)に統一して」と指示したら、全スライドの表現が揃いました。これは手作業より早い。
向いている用途
提案書・導入説明・比較検討・手順書、どれでも動きます。私が実際に作ったものは、受発注自動化の提案書・医療データバックアップの競合比較・クラウド移行の費用シミュレーションです。
内容は自分で考える必要がある。構成やロジックは私が出します。ただ、それをスライドの形に落とす作業は、AIにやらせる。この分担で動いています。
「凝ったデザインにしたい」という場合は、デザイナーに頼む方が早いです。ただ、「内容を伝えられればいい」という提案書や社内資料であれば、日本語でやりとりするだけで十分な品質のものが出てきます。
スライドを一枚ずつ手で作っていた時間は、内容を深める時間に使えます。
